先週の土曜日、驚かれた方も多いと思うが、東京、阪神、函館に出走する983頭中、156頭が競走除外となる前代未聞の事件がおきた。これは競走馬の飼料の中に禁止薬物テオブロミンが検出されたからである。
日々進化する競走馬の育成環境において、疲労回復などを目的としたサプリメントを飼料に混ぜたりする。今回はサプリメントの一種である競走馬用のカルシウム剤、グリーンカルから血管拡張や利尿作用などの効果がある禁止薬物テオブロミンが検出された。
通常、トレセン内で販売されているものは、競走馬理化学研究所で検査し、禁止薬物が入っていないことが確認された上で販売することになっている。しかし今回、袋には禁止薬物検査で陰性反応が出たことが明記されていながら、テオブロミンが検出された。
本来なら陰性が確認されて製造業者から販売業者へ渡るべきものが、検査前に渡っていたということになる。
実際、禁止薬物混入が発覚したのは14日(金曜日)の夕方。通常は飼料を使用した馬を全て検査し陽性の馬のみを競走除外にするのが普通だが、発覚したのが金曜日の夕方だっただけに、その飼料を使用していた美浦6厩舎、栗東22厩舎の合計28厩舎の馬、156頭全てが競走除外ということになった。
先週、グリーンカルを摂取した可能性があるとして競走除外となった156頭には、優先出走権の付与が決まっており、その期間は2019年の2回新潟競馬の6日目、2回小倉競馬の6日目、1回札幌競馬6日目までとなった。また今週出走予定365頭の薬物検査は全馬陰性という結果がでており、今週からは通常通りの競馬が開催される。
今週から通常通りでひと安心だが、気になるのは優先出走権。1つのレースで登録数が多いと抽選で出走馬を決めるが、優先出走権を持っている馬は狙ったレースに出られるということになる。
抽選で除外されず、狙ったレースへ確実に出られるということは、そのレースに向けて思ったような調教ができるというメリットがある。もしかしたら今回除外された156頭が、この先のレースで好走するかもしれないので、先物買いとしてチェックしてみると馬券に役立つかもしれない。
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