【コラム】シャケトラ・ヒストリー

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今月に入って競馬界に訃報の知らせが相次ぐ、先々週に64年ぶりに牝馬で日本ダービーを勝った名牝ウォツカが亡くなり、今週はエリザベス女王杯を制した女傑ヒシアマゾンが死亡した。

1番の衝撃は先月の阪神大賞典で力の違いを見せつけたシャケトラの安楽死。調教中に左第1指骨を粉砕骨折、関係者はなんとかして欲しいという気持ちだったが、獣医師には安楽死になるという厳しい判断となった。

シャケトラはデビュー前から足元が弱かった馬で、仕上がりの早い馬は2歳6月にデビュー戦を迎えるが、シャケトラは同世代の馬がダービーを戦い終えた3歳の6月にデビューした。
2016年6月12日、阪神6Rの3歳未勝利戦。経験馬相手に初出走のシャケトラは単勝1.7倍の1人気、見事デビュー戦で初勝利を飾った。もちろんこの時期の初勝利ではクラシックを目指すことは出来ず、シャケトラは古馬のG1競走を目指すべく、地道に自己条件のレースを戦っていく。

4戦目にして1000万クラスを勝利。順当に使うなら次は1600万クラスのレースを使うのだが、シャケトラが次に選んだのは日経新春杯[G2]。普通であれば格上挑戦の馬が人気を集めることは少ないが、この時のシャケトラは2人気。菊花賞5着という実績を誇る、1人気のミッキーロケットをハナ差まで追い詰めるが2着と惜敗。2着に敗れはしたものの、シャケトラが重賞競走を勝てる能力を持ち主であり、G1競走でも好勝負でいる器の持ち主であることを証明する一戦だった。

続く日経賞[G2]で初の重賞制覇を成し遂げるシャケトラ。その年はG1競走を何戦か戦うが宝塚記念の4着が最高で、翌年の春に左前脚を骨折し全休となった。そして今年、骨折も良くなり休み明けとなったアメリカJCCで菊花賞馬のフィエールマンを撃破しての勝利、前走の阪神大賞典では相手を寄せ付けず完勝。誰もが今年のシャケトラは違う!関係者も今までの苦労がG1競走で報われると、期待が持てる矢先のアクシデントだった。
私の記憶の中では、デビュー戦から僅か6戦で古馬のG2競走を勝った馬はシャケトラ以外に見当たらない。シャケトラも記録より記憶に残る馬だったといえるだろう。

次週は平成最後となるG1競走、天皇賞(春)。結果論ではあるが、馬券に時事ネタが絡むことはしばしばある。今上天皇の退位が馬券に絡むのか、それともG1制覇を成し遂げたかったシャケトラの思いが絡むのか、春の天皇賞はいろいろな思いを巡らせながらレースを観戦することになるだろう。

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